少女の夢は叶わない
それは、ある哀れな少女の話。「ひとりだった」
声だ。
「ずっとひとりだった」
声が聴こえる。
「かみさま、ってみんないってくれたけど、わたしにはおとうさんもおかあさんもいなかった」
誰に聞かせる事もなく、声は語る。
「おともだちがほしかった。にんぎょうだけがおともだちだった」
誰に見られる事も無い世界で、声は続ける。
「ずっとずっとおねがいしてた。おともだちをくださいって、おねがいしてた」
闇の向こうで動く音がする。
「だから、だからあのひとがきたとき」
動く音は一つだけ。反応する音も、気配も、何も無い。
「かみさまがわたしのおねがいをかなえてくれたって」
あるのはただ孤独のみ。
「おもったのに、なぁ」
声の主がいる世界は、どこまでも孤独だった。