託された希望〜神をも殺す言の葉を〜

「あれの化けの皮を剥げば良いんですのね。良い事を聞きましたわ」

絶対的な絶望の中、紅羽は優雅に笑う。
あるいは、その笑みは虚勢かもしれない。敬愛する先代の姿が敵として現れ、内心は動揺しているのかもしれない。
だが、そんな時だから笑うのだ。

「今まで後世に託し続けていた我らが、どうして今回だけここまでこれたかわかっとらんのう」

絶対勝利を信じる者に、敗北をつきつけるためにここに来た。

「――逆転の一手。全ての人によって紡がれた、とっておきだ」

白い包装用紙にピンクのリボンのラッピング。分かりやすいプレゼントの外観をしたそれは、見覚えがあった。

「転入生の“プレゼント”――?」

誰かがぽつりと呟いた声に、慧が同意する。

「そうだ。解析して判明したが、これはどうやら真実を暴く欠片の様だ」
「偉大な先輩方じゃ。人形にされても最後の矜持だけは隠しておったとはの」

1人1人の手の中で、リボンは柄へ、包装用紙は刃へと姿を変える。
創り上げられたのは、小さな短剣。

『最後の記憶を解放しますわ』

『お前達は自らの知恵と力でここまできた。倒す敵はこいつだけだ』

『援護は惜しまぬ。――終わらせようぞ、全てを』

さぁ、最後の名を呼んで。

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